Thalysで着いてホテルにチェックインすると、夜の9時を回りました。
大急ぎでタクシーでレストランに向かうことにしました。
その通りの名前が出てこなかったので、「シーフードのレストランへ連れて行って」と頼みました。
そこは、グランプラスのそばで、細い通りの両側にシーフード・レストランが軒をつらねています。まあ京都・錦通りのお店のすべてがシーフード・レストランと思ってください。
どん突きの角の地元の人にも人気のある老舗のレストラン「オー・ザルム・ド・ブリュッセル」に入りました。
定番のムール貝のワイン蒸しを注文。
それと温野菜。
白ワインをお任せで頼んだら、三ツ矢サイダーみたいな、ただの瓶に入ったハウスワインがでてきました。これが実に美味しかった。アルザスのなんとかブランという品種で、樽で仕入れているのだそうです。
次の夜は、魚専門の高級レストランが集まっている、聖カトリーヌ教会界隈に出かけました。
ブリュッセルに来るのは、もう6回目くらいで色んなお店に行っているのですが、店の名前などは余りしっかり覚えておらず、入ってから気がつくことがおおい。
今回は、たぶんまだ行ったことがない老舗の「フランソア」に入ることにしました。
<魚屋さんと直結したレストラン。ブリュッセル魚料理の伝統と、祖先から正統的に受け継いだレストランを誇りにしている>と、ガイドブックの紹介があります。
年配のお客たちは、決まったようにオマール海老を食べています。オマール海老よりマツバガニや伊勢エビと思うぼくは、チェックをかねて舌平目のムニエルを頼みました。身の間にはやはりオマール海老の身が挿んであり、マッシュルームも炊き込まれていました。ソースの味はさすがでした。
食べ終わっての感想、まあ中京区のうなぎの「かねよ」みたいなもんかなあ。サービスが伝統的に素っ気なさ過ぎる。そのうちに落ち目になるぞ。
どこのレストランでもたばこはだめ。デザートを止めて、早々に店を出ました。
メトロポリタンホテルまで歩き、ここの屋外バーで、ビールを飲みながらシガーを楽しむことにしました。
ベルギーには、300種類のビールがあるといわれ、普通のビールより美味しく飲みやすい気がします。お昼時など老若男女誰でもビールを飲んでいます。
ビールを頼むと、黒いのか普通のかと聞き返されることがおおい。普通のというと、決まったようにLeffeという銘柄のビールが出てきます。
椅子は全席歩道に向いています。一番端の席に座って、隣りの椅子にバッグを置くと、斜め後ろの紳士が「コートで隠しなさい」と教えてくれました。ここもやはり危険なようです。
レギュラービールを頼みました。
ボーイが「You enjoy?」とご機嫌伺いにやってきました。
「いやぁ、このビールは美味しいよ」
「そうでしょう」
「ところで、このグラスもなかなか素敵だね。どこで手に入る」
それは、Leffeというマークの入ったきれいなビールグラスです。
しばらく考えた後、彼は身を屈め、小声で、
「Here(ここで)」
といい、それから、口に人差し指を当てました。そっと持って帰りなさい、内緒で、という意味です。ぼくも小声で、「メルシー、ボクゥー」
しばらくすると、彼が紙ナプキンをそっとテーブルに持ってきました。これで包めということです。
ぼくは、どうやらボーイに好かれるらしい。ヴァルススキー場でも、レストランの高校生の年格好のボーイが、彼は全く英語が駄目だったのですが、色々話しかけ、最後に全員にジェネピーというフランスのリキュールを振る舞ってくれました。ぼく自身日本にいるよりも外国の方が遥かに快適という感じがしています。