アメリカより(3)

ニューヨークからサンフランシスコまでは、ダイレクトには飛べずミネアポリスを経由します。
ノースウェストAirLineでは、すべての便はデトロイトとミネアポリスをハブ空港として使っているようです。アメリカでは航空網が、ちょうど東京の地下鉄のように張り巡らされており、A空港からB空港への経路は、いく通りも作れます。
乗り換えの1時間をいれて7時間ほどのフライトで、サンフランシスコ空港に到着。
ほぼ10年ぶりの空港は、びっくりするほど奇麗になっていました。

DSC00034.jpgモノレールではなくて、二本の軌道にゴム車輪で走るエアトレインが新設されていました。これは2台連結の車両が駐車場とレンタカーセンターを循環する2系統がある。便利になったもんです。
レンターカーセンターに着くと、Avis, Hertz, Budget, Aramo、Nationalその他いくつものレンターカーの受付カウンターがずらりと約50メートルもの幅に連なっていました。
ニューヨークでインターネット予約を入れておいたアラモでチェックインを済ませ、隣のパーキングに行くと、受付のおっちゃんが、「いらっしゃい」と書類を受け取り、彼方を指差しながら「ほら、あの辺りの車ならどれでもいいから持ってって」

DSC00064.jpgそこには、20台ほどのミッドクラスのSUV車(sport-utility vehicle)ばかりが並んでいます。
日本のRV車をセダンチックにした感じの車で、どれもが、Buick(ビュイック)かChevrolet(シボレー)の車です。
ピッツバーグで乗っていた車がシボレーだったというくらいで、あんまり判断基準のないまま、ビュイックを選びました(ボンネットを開けてみてV6の3500ccであることが分かった)。

なんとなく古巣に戻った気分で、ルート101を15分ばかり北上、Airport Bld.(エアポード通り)脇のホテルに入りました。
空気は清々しく、NYのように蒸し暑くもなく、全く快適。近くのレストランで食事をして戻り、玄関脇のベンチで月を愛でながら葉巻を吸いました。
カルフォルニアの法律では、公共の建物内では禁煙、建物外でも30フィート(8メートル)以内の喫煙はだめで、違反すると罰金が科せられる。だからホテル等では、入り口脇にベンチと灰皿を設けています。

サンフランシスコ到着後の計画は特になく、5日後にピッツバークの彼と、サクラメントの空港での合流が決まっているだけです。明日からの4日間をどうするか。
当初は、昔とどう変わったのかが知りたくて、長駆ロス往復(このコースではかつてスピン事故を経験)、ラスべガス往復等を考えていました。
でも切羽詰まって決めたのはヨセミテとカリストーガの各二泊。いずれもサンフランシスコからわずかの距離です。
カリストリーガというのは、今回思いついた場所で、前に行ったナパ・バレーの奥にある温泉保養地です。温泉といっても日本のそれとは大違い、日本でいえばクアハウスにあたります。
ここで、温水プールと温泉ジャグジーを楽しみ、ナパとソノマのワインをテーストして回る。

翌日、ヨセミテに向かいました。
DSC00048.jpg国立公園入り口近くのロッジに投宿。キッチン付きでベランダのある部屋にしました。ベランダでは葉巻が吸えますから。
ベランダのテーブルに座り、月を眺めていると、轟々と鳴る下の谷川の瀬音は、なにか昔の黒部奥の廊下のキャンプを想い起こさせました。

DSC00052.jpg突然、足下に小動物が現れました。猫にしては大きいなと、よく見ると洗い熊、ラスカル君です。
よくなれていて、ほとんどおびえるところがありません。テーブルに登りつこうとするので、食べていた焼きたてのポークステーキの一切れを与えると、器用に両手で挟んで食べました。
食べ終わると、両足で立ちあがって、両手を差し伸べ、もっとと催促している風です。何枚かの写真に収めました。
対岸の森から、渓流を渡ってやって来たらしい。どうやらお客に餌付けされているようなのです。なんだかワイルドな気分になりました。

DSC00071.jpg翌日、ヨセミテ公園の中心部を車で回りました。公園入場料は20ドルで、1週間有効で自由に出入りできます。
渓流に沿う林の中の一方通行の2車線道路を走って行くと、エルキャピタンの大岸壁は、突如現れました。それは、山ではなく巨大な岩塊と思えました。
観光バスが止まっており、ツアー客の日本人グループが記念撮影をしています。双眼鏡でルートとおぼしきラインを追って行くと、クライマーの姿を捉えることが出来ました。3ルートに4パーティが取り付いていました。
ごく上部のテラスとおぼしきあたりには、テント型の赤色ツェルト2張りを認めることが出来ました。

DSC01339.jpg昨年、シャモニーからメールドグラス氷河に登って、ドリューの西壁を見上げた時には、なにか登高欲みたいなものを感じました。そして若かったら登れたはずだ等と思ったものでした。ところが、ここでは、全然そんな気がしなかった。
どうしてなのかな、と考えましたがよく分からなかったのです。ハーフドームの方には、いくら探しても、クライマーの姿を見ることは出来ません。

DSC00005.jpgキャンプ4でキャンプしていた日本のクライマーに訊ねたら、ハーフドームは一日中陽が当たらないのでとても寒く、もうシーズンは終わっているとのこと。
ここでキャンプするには、一日5ドルを払うだけでよく、バスで来ると公園入場料は不要です。彼らは、もう1ヶ月半も滞在して、あちこちのルートを登ったのだそうです。
「エルキャビタンは、何日かかるの」
「ルートに依りますが、3日から4日。1週間かかるところもあります」
「その間の食料、水もみんな運び上げないといけないね」
「そうです。重労働そのものですよ」
夏のシーズンには、多くの日本人クライマーがやってくるそうです。
日本では、若者登山者が激減していて、夏の劔等は閑散としていると聞き、心配していたのですが、日本の若者クライマーはこういう場所や海外の他の場所に行っているのかもしれないな。そう思って少し安心したのです。
ローストチキンとローストビーフ、赤ワイン等食べきれなかった食料を差し上げたら、「今夜はパーティが出来ます」と喜んでいました。気持ちのいい若者でした。

DSC00091.jpg公園の中心あたりには、「アワニーホテル」という、高級なホテルがあります。アメリカ人が「一生に一度は泊まってみたい」と憧れるホテルだと聞いていたので、見物に出かけました。
なるほど、すべてが大きく重厚な作りです。調度もフロアの絨毯も立派なものでした。特に目についたのは、背丈以上の巨大な暖炉です。それがいくつもありました。これに火が入ったさまを見てみたい。ほんとにそう思いました。

ぼくのイメージでは、ヨセミテとはクライマーのキャンプがあって、そこでクライマーたちがボルダーリングに興じている。そういうイメージであって、観光客が群れているという感じではなかった。ヨセミテのサイクリングやハイキングあるいは乗馬等は思案の外だったので、大いに認識を改めさせられました。

ヨセミテを発つ日、ヨセミテ一帯では、発電所のリペアで送電が早朝からストップ。この停電は夕方の5時まで続くという話。早々に「ヨセミテ・ビュー・ロッジ」を後に、温泉の町カリストーガに向かいました。

DSC00015.jpgカリストーガは、富裕層が訪れる保養地のようです。宿に止まっている車にアメリカ車はほとんどなく、ベンツ、ビーエム、トヨタ、ホンダがやたら目につきます。
ホテルを探して、この小さな町を回りました。「台所付きの部屋はあるか?」ときき、部屋を見てから値段を聞きます。
どれもこれも設備のわりには値段が高く、6軒めでようやく、思わしいところが見つかりました。2泊するからと値切って1割のディスカウントに成功。
宿泊客はほとんどが、中高年と老人です。

次の日のナパとソノマのワイナリーを巡る予定は、急遽変更することにしました。
夜に何度も脚がつり、これは血糖値が上昇している。ワイナリー巡りは、止めた方がいいと判断したからです。
ゆっくりと起きだし、プールサイドで読書を楽しみました。
このホテル、「カリストーガ・スパー・ホットスプリングス」は、かつてのサンフランシスコオリンピック時のプール跡に建てられたそうです。25メートルプール、円形のプール、直径15メートルの円形ジャグジーがあります。
宿泊客の男どもは、みんなワイナリー巡りに出かけたらしく、プールサイドには夫人たちと子供たちに占められていました。

DSC00021.jpg夕刻、この地の名物の「マッドバス(泥風呂)」を試みることにしました。浴槽に入っている泥に身を沈めます。立ってはいけない。底は火傷するくらい熱いのです。
10分で終了、シャワーで泥を洗い流してから、小さな長方形のジャグジーに入る。少し硫黄泉のように濁っていますが、硫黄臭はなく、なめても酸味もありません。
それから、リラックスルルームでうつぶせに寝かされ、首に冷たいタオルが置かれ、15分間リラクゼイションを行いながら、熱気をさますという説明です。
こんなもんなら、日本の温泉の方がよほどいいと思いました。
その後、オプションで頼んでおいた1時間のオイルマッサージ。
日本では、「すごく気持ちいいのよ」と勧められてもいつも拒否していたマッサージを、外国でしてもらうことになりました。でもやはり、ぼくとしては、見ず知らずの女性に体中をなで回されるのは、あまり気持ちのいいものではなかった。初めてのオイルマッサージ体験はそういう結論になりました。

とてもヘルシーな一日を過ごし、明日はナパバレーを下りソノマへと、道の両側のワイナリーを適当に訪問しながら、サクラメントに向かいます。

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