No.3「イタリアのスキー場とイタリアンスキー」


04winter3-1.jpg 今回はイタリアスキーとここのスキー場の紹介です。
 背後にそびえる2000メートル級のイタリアアルプスの山頂近くまで広がる広大な3つのスキー場は、左から右に順に、リモーネ1010、リモーネ1400、リモネット1300と呼ばれます。 イタリアンアルプスのCIMA DI PEPINO(2344m)とその右隣FORTE CENTRALE(1908m)の山腹に広がるのが、上記3つのスキー場です。

 これらのスキー場は、リモーネ1010から始めて、登り滑りを繰り返しながら右から左へ移動して、リモネット1300に達し、それから引っ返して、また帰ってくるだけで結構一日はかかります。

04winter3-2.jpg スキー場を紹介してみましょう。 スキーコースの数は46本あって、初級(Easy)は6本。上級(Difficult)は4本。残りは全て中級(Medium)です。 コースの長さは、1キロを超えるものが27本。一番長いものは、5.2キロもあります。これらを、上から下に滑り次ぐと、とんでもない距離となります。
 リフトは、21本。うち8本がチェア−リフト、いわゆる日本でいうスキーリフトです。うち4本がクアッドリフトです。残り15本はすべてお皿のような半球をお尻に挟んで、立ったまま引っぱりあげてもらうもの、こちらでいうリフトです。 (こんな風に、詳しいデータが示せるのは、昨年まではなかった英文のパンフレットが出来たからで、これも2006年のトリノ冬季オリンピックの所為かも知れません) リフトの終点は、大体2000メートルを超えています。森林限界をはるかに越えているので、まあ室堂から天狗山の斜面という感じです。面白いことに、反対側には大日岳にほんとによく似た山があるのです。
 次にリフト料金に付いて書きましょう。 非常に細かいカテゴリーに別れていて、大変複雑なような気もしますが、よく考えられたリーゾナブルなものともいえるようです。単位はユーロ(昨今のレートは、140円です)。まず一日券。

一日券料金表
一日券(Daily ski pass) 26.00
半日券(Short-day ski pass(from 11:30 a. m.) 21.50
シニア券(Senior ski pass(born before 01/01/44) 60才以上 21.50
ジュニア券(Junior ski pass(born after 01/01/90)14才以下 18.50
赤ちゃん券(Baby ski pass(born after 01/01/97)7才以下 無料
午前券(Morning ski pass(until 12:30 p. m.)12時半まで 18.50
午後券(Afternoon ski pass(from 1:00 p. m.)午後1時から 18.50
3時間券(3-consecutive-hour ski pass)連続3時間 18.50
連続した多日券(consecutive multi-day ski pass);相当する日本語がないので仕方なく直訳しました。 これは、さらに、ハイシーズンとローシーズンに別れます。 ハイシーズンとは、2003年の12月20日から2004年1月6日の間と2004年1月31日から3月7日の間です。 ローシーズンは、シーズンの初めから2003年12月19日までと2004年1月7日から1月30日まで。

連続した多日券の料金表(1)
日数 成人 ジュニア(14才以下)
ハイシーズン ローシーズン ハイシーズン ローシーズン
2 50.50 50.50 36.50 36.50
3 72.00 72.00 54.00 54.00
4 91.00 91.00 71.50 71.50
5 106.50 95.00 86.00 77.00
6 120.00 103.00 97.50 86.00
7 134.00 114.00 108.00 95.00
8 146.50 123.00 119.00 104.00
9 158.50 134.00 130.50 113.50
10 169.00 144.00 140.00 122.00
11 176.00 154.00 149.00 131.00
12 183.50 163.00 158.00 138.00
13 189.00 169.00 166.00 146.00
14 194.00 174.00 174.00 154.00
非連続の多日券(non-cosecutive multi-day ski pass);上のカテゴリーと違って、滑らなかった日はカウントされないという多日券です。これは、今年から出来たものです。

連続した多日券の料金表(2)
日数 成人 ジュニア シニア
5 125.00 90.00 102.00
6 147.00 108.00 122.00
7 170.00 125.00 142.00
8 190.00 142.00 161.00
9 210.00 159.00 179.00
10 230.00 175.00 198.00
 次に、Free Cardというカテゴリーがあります。これは、昨年より始まったもので、チップの埋まったICカードで、日本のニセコのもの等と同じ形状をしており、同じように返却時に返還されるデポジットが必要です。デポジット代金は5ユーロ(700円)です。 これ以外のものは、すべて使い捨ての紙カードで、ゲートのスリットに挿入しないといけないのですが、このフリーカードは、胸ポケットに入れておくだけで、ゲートが開いてくれます。 またICカードですから、なくなると追加金を支払って更新出来るし、翌年まで使えます。(昨年始めて出て来た時は、5年間有効を詠っていましたが、変更されたようです) 料金は次のようになっています。

Free Cardの料金表
普通 ジュニア シニア
75.00 52.50 60.00
 私たちは、これを使うことにしました。このカードの説明には、そうは書いてはありませんが、シニアの場合は、一日に20ユーロがカウントされますから、乗った日が3日になると終わりになることになります。いってみれば、non-consecutive 3 days ski passということです。 一日の料金は、60 × 140 ÷ 3 = 2800円ということなります。

 このほかに、各リフトごとに設定されているポイントのみでカウントするポイントカードとか、シーズン券とか、40日券(この券は、買う毎に安くなり、3回目には1/3近くまで下がります)などなど、まだまだあるのですが、これくらいにします。

04winter3-3.jpg ゲレンデの状況に付いて書きます。 どのスキー場も最高点は、2000メートルを越えていますから、雪質はいいといえます。降雪の後等は、キュッキュッという音のする雪ですが、決して柔らかではなく、かろうじでストックが刺さるという感じです。これは、丁寧に圧雪されているからです。 晴天が、数日続くと、ストックも刺さらないようなバーンとなりますが、氷化はしません。エッジを鋭く研いでおかないと安定した滑りが出来ません。

04winter3-4.jpg ゲレンデで気が付くことは、老いも若きも高速で飛ばしている人が多いことです。イタリア人には、スピード狂が多いのかもしれません。広いコースは、完全に整備されており、こぶ等が全くないので、自然にすっ飛んでしまうのです。 白髪の老人が、大声でカンツォーネを唱いながら矢の様に滑り降りていったりすると、イタリアのスキー場という気がします。 こうした大斜面をスピードを落として滑るというのは、それだけ制動を掛けるということで、体力を消耗し、長時間の滑走ができないということです。このあたりが、日本と違う所で、スピードに付いての慣れが必要となる所以です。 ボーダーが極度の少ないというのも、日本と違う特徴です。これは同時にスキーヤーの年齢層が高いということでもあります。ボーダーは、10人に一人あるいはそれ以下です。

04winter3-5.jpg もうひとつ、これは日本にはないヨーロッパのリフトについてです。 日本でいうリフトは、こちらではチェアリフトと呼ばれます。リフトといえば、大きなお椀をお尻に挟んで引っ張りあげてもらう形式のものをいいます。 慣れれば軽快で、立ったままでも結構休めるようで、全く苦になりません。

 じい様スキーヤーとはいっても、みんなスキー暦40年前後という古強者です。それなりに呼吸が合いました。 また、角倉は剣岳東大谷G1初登、関田は穂高岳屏風岩第1ルンゼ第2登、井川はぼくが拓いた剣岳八ッ峰6峰Bフェース京府大ルートの二回目、とそれぞれ記録的な登攀のパートナーでした。
  こんな仲間で、こんな所で、こんな年月を経て、こんな風にスキーが出来るとは、まことに幸せだと思わずにはいられませんでした。 またこの間この広いスキー場で、日本人あるいは東洋人は、ほぼ間違いなく、我々6人だけだったと思います。6人のジャポネーゼは、5日間のスキーライフを充分に楽しんだのでした。

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